多汗症は文字通り、汗を多くかく症状のことです。
発汗を司る自律神経の機能がうまく調整できず、常に亢進状態になるために起こると考えられており、全身性多汗症、局所性多汗症など、大量の発汗が見られる部位によって診断名が変わってきます。
なお、多汗症がある方は汗が原因となる体臭についても悩みを抱える傾向が強く、わきがに多汗症を伴うケースも多いため、「わきが」と「多汗症」は混同されがちです。
しかし、多汗症とわきがは別の症状です。多汗症で主に活動しているのはエクリン腺という汗腺で、ここから分泌される汗はほとんどが水であり、さらさらとしています。
ただし、純粋な水ではない上、人の皮膚では常在菌を始めとした様々な菌が活動しているので、あまりにも量が多いと衛生状態を悪化させ、においの元となります。
それに対し、わきがはアポクリン腺という汗腺から分泌される豊富に有機物を含む汗が原因となり、独特の強いにおいを発する症状で、「腋臭症」とも言います。
発汗が起こる領域に対応する交感神経節が明らかになりつつあります。
多汗症の治療も交換神経節へのブロック治療などでも対応できるようになりましたが、局所性多汗症の場合はほかの部分に代償性発汗が生じる可能性があるので、治療計画は慎重に検討するようになさってください。
多汗症の種類
多汗症には症状の見られる部位によって異なる名前が付けられています。
全身に汗をかく全身性多汗症。全身性多汗症の場合は内分泌代謝異常などの病気が潜んでいる恐れがあります。原因疾患の可能性を除外してから、治療に進むようにしましょう。
他には、手の平や足の裏に限定して汗をかく局所性多汗症があります。局所性多汗症としては、
手の平に汗をかく手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)
足の裏に汗をかく足蹠多汗症(そくせきたかんしょう)
わきの下に汗をかく腋下多汗症(えきかたかんしょう)
頭から水をかぶったかのようになってしまう頭部多汗症
顔が汗まみれになってしまう顔面多汗症
背中に流れるほど汗をかいてしまう背中多汗症
女性ではブラジャーなどの谷間に汗が溜まり、非常に不快な思いをすることになる胸部多汗症
下着が汗で濡れた状態になり、やはり強い不快感を覚える臀部多汗症などがあります。
多汗症のチェックポイント
ご自分が多汗症かどうか気になる方は以下の項目で、該当するものをチェックしてみてください。該当する項目が多いほど多汗症の可能性が高くなります。
症状に合わせた多彩な多汗症治療
当院では多汗症の症状に合わせて治療法をお選びいただけます。
多汗症の方の多くに選ばれている治療方法は、ボトックス治療に代表されるボツリヌストキシンを注入し、一定期間汗が出ない状態にするというものです。
薬剤の効果が3か月から半年で切れてしまうため繰り返しの治療が必要ではありますが、効果の持続している間は注入部位に汗をかくことがないため快適に過ごすことができます。
汗をかきやすい時期に絞って注射をしに来る患者様も多く、リピーター様の多い治療のひとつです。
ボトックス治療のデメリットとしては、多くのボツリヌストキシンの薬剤は薬剤の安定剤としてヒトアルブミンを使用してるという点が挙げられます。
そのため、繰り返しの治療で体に耐性がついてしまうと薬剤自体の効きが悪くなってしまいます。
当院では長期的な使用を目的とする患者様のために耐性をつきにくくするために薬剤の安定化にヒトアルブミンを使用しない新技術で作られたボツリヌストキシンをご用意しております。ヒトアルブミンを使用していないので勿論安全性が高く、効果も十分ですので、安心してお使いいただけます。
また、もう一つとしては患者様のライフステージの変化に伴って治療の継続が困難になってしまった時の問題があります。当院では多汗症への長期的に効果を継続させる治療としては、ハイブリッドドライやビューホットをお勧めしております。
ハイブリッドドライとは、多汗症・わきが治療で高い人気を誇る「切らないわきが・多汗症治療」のビューホットと、ベイザーという治療機器を組み合わせた当院独自開発の強力な治療法です。
ベイザーは「ベイザー波」という超音波を用いた特殊な医療用治療 機器で、皮下の脂肪層を選択的に破壊する性質を持っています。ベイザーを使用すると、多汗症やわきがの原因である汗腺を皮下脂肪と同時に取り除けます。
ビューホットはフラクショナルRF高周波という特殊な振動エネルギーによって汗腺を熱破壊する医療機器です。ビューホットは汗腺の深さに合わせて機器を設定するため、周囲の組織にダメージを与えず効率 的にわきがと多汗症の原因となる汗腺を破壊できます。
皮膚に傷を作らない点、治療から日常生活に復帰するまでのダウンタイムが必要ない点、わきがと多汗症を同時に治療できる点など多くのメリットによってビューホットは注目されるようになりました。
ハイブリッドドライでは、まず施術範囲を決めてベイザーで処置を行い、 取り除ききれなかった汗腺をビューホットで処理するといった具合に治 療を進めていきます。
これまでは外科手術でなければ治療できなかったような重度の多汗症・わきがの方であっても、ハイブリッドドライな らば効果をご期待いただけます。
もちろん、ハイブリッドドライ以外の外科手術、注射療法、Wトリミング法なども患者様のご希望があればできる限り対応いたします。重 度の症状にお悩みの方はぜひ医師とご相談のうえ、最適な治療法をお選びください。